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看護師の経験を活かしアクティブに働こう! 自由度が高くて珍しい仕事を大紹介【前編】

看護師の職場といえば、病院やクリニック、福祉施設を思い浮かべますが、実は働ける場所がいろいろあります。

今回は、思いっきり自由度が高くてアクティブな仕事を紹介します。

淡々と働くのは性に合わないという人は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

医療施設とは異なった環境の就労ですから、今までとは違う楽しみを見出せるかもしれません。

どのような仕事があるか、前編・後編に分けて紹介します。

【そんな働き方があったのか!】

職場を限定せず、常勤にこだわることもなく、好きに働ける夢のような仕事があります。

狭い職場内の人間関係でストレスを溜めるくらいなら、たくさんの人と出会う職に就いてみてはいかが?

今は看護師も働き方が多様化しています。

看護師の国家資格を活かして、あなたらしく輝ける場を探しましょう。

実は、いろいろなシーンで看護師は求められていますよ!

◇ イベントナース

イベントナースとは、イベント会場に設置された救護室に待機し、気分が悪くなった人や怪我をした人などの処置にあたる看護師のことです。

イベントと言ってもいろいろあります。

たとえばスタジアムや運動施設で行われるスポーツ大会、会館やライブ会場などで行われるアイドル歌手やロックバンドなどのフェス・コンサート、地域イベントとして行われる桜祭り・夏祭り・村祭り、遠足や屋外の移動教室といった学校行事、マラソン大会など、規模は大小さまざまです。

野外だけでなく、有名人の握手会やサイン会といった屋内イベントもあります。

人が集まれば、体調を崩す人も出て来ます。

ですから、インベントナースが待機し、現場で臨機応変に対応するというわけです。

夏ならば熱中症やアルコールを飲み過ぎた急性アルコール中毒、運動会・マラソン大会ならば打撲・捻挫・骨折、感染症が流行っている時期は換気や消毒などに気を留めなければいけません。

参加する人の年齢や人数によって、起こりやすい事故や病気は異なります。

イベントナースは、疾患について幅広い知識が必要で、冷静かつ的確に対処できるスキルを求められます。

仕事は、半日だけ、1日だけという単発もありますが、大きなイベントでは数日間ということもあります。

全国ツアーを行うようなアーティストでは、ツアー終了時までずっと帯同することもあります。

怪我や病人が出ない限り、イベントナースは救護室で待機します。

何事もなく1日を終えることがあり、大規模なイベントでなければ、かなり楽な仕事の方かもしれません。

しかし、急病人が出た時は、短時間で情報収集を行い適切な処置を施します。

応急処置で大丈夫か、病院へ行った方がいいのか、救急搬送が必要か、それらを見極めます。

自分ひとりで決断することも多く(医師が救護室に居ることもあり)、求人には「臨床経験3年以上」といった条件が付いていたり、スポーツイベントでは、外科の対応が多くなるため「外科の看護師経験3年以上」といった条件もあったりします。

また、子どもが集まる運動会のイベントなどでは「小児科のナース経験者」というように、細かな条件が付くこともあります。

イベントナースの求人は、とても少ないですが、一度その仕事を担当し、主催者から気に入られれば、次も声がかかるようです。

まずは転職エージェントに登録してください。

非公開求人の中に含まれていることが多いので、担当者に根気よく探してもらいましょう。

またアーティストの所属事務所が看護師を募集していたり、イベントを専門で行うイベンターの会社が募集していたりします。

転職エージェントに頼るだけでなく、自分から事務所に問い合わせをしてみるのもいいでしょう。

イベントナースのメリットは、自分にとって都合のいい日に働けることです。

子育て中にバイト感覚で働きたいと思っている人や、病院やクリニックに勤務しながらダブルワークとして請け負いたい人に適しているでしょう。

また、イベント会場が仕事場になるため、毎回新鮮な気持ちで臨めることや、単発の仕事なので人間関によるストレスも少なくてすみます。

◇ ツアーナース

ツアーナースとは、個人や企業、団体の旅行に付きそう看護師のことです。

添乗看護師やアテンダントナースと呼ぶところもあります。

旅行に参加する人々が、安心・安全に帰ってこられるように、健康管理の把握や、怪我や体調不良時などの対応を医療専門職として行います。

ツアーでは、基本的に医師の同行はありませんので、看護師が出来る業務範囲内での応急処置や心身のケアを担います。

旅先では、病院のように機器が整っていません。

ですからツアーナースには、参加者の様子をよく観察し、体調の悪化を早期発見する高度なスキルが求められます。

初期対応を誤れば、取返しのつかない事態に陥ることもあります。

プレッシャーがかかる仕事といえるでしょう。

ツアーといっても、学生(小・中・高校)の修学旅行、高齢者の熟年旅行、会社員の慰安旅行などさまざまあります。

最近では、障がい者とその介助者の旅に付き添う個人旅行も増えてきている様子。

規模は数百人から2~3人のものまで大小いろいろです。

修学旅行を例にとり、仕事内容を具体的に説明しましょう。

学校は、一人ひとりの健康状態を記した書類を作りますので、ツアーナースはそれらを事前に熟読し、既往歴などを頭に入れておく必要があります。

アレルギー、喘息、心疾患、てんかん・・・など、友達に知られたくない情報が含まれているため、扱いには十分に配慮します。

自己管理能力が未熟な小学生の場合は、ツアーナースが薬を預かり、適切なタイミングで薬を渡して、飲むところまで見届けることもあります。

飲み忘れや薬を捨ててしまう子どももいますから、注意力が必要です。

夜尿症の子どもには、夜中に起こしてトイレに連れて行きます。

食物アレルギーのある子どもの食事管理も大切です。

事前に旅行責任者が宿泊先と打ち合わせを行いますが、配膳ミスがあったり、誤ってアレルゲンを摂取してしまったりする可能性もあるため、ツアーナースが配膳前に食事内容をチェックします。

先生方との連携も大切です。

旅行中に、子どもが病気になった、怪我をした、という時にツアーナースは適切な看護処置を行い、病院を受診すべきかどうかの助言を先生方に伝えます。

感染症が疑われる症状の時は、宿泊が同じ部屋の子どもたち、行動班が一緒の子どもたちの様子も観察し、先生方と情報を共有します。

修学旅行は学習の一環なので「ただ休ませる」「回復するまで宿泊部屋で待つ」という対応ではなく、少しでも行事に参加でるよう、体に負担のかからない程度の参加を考えることもあります。

もし、子どもを病院に連れていく状態だと判断した場合、問診票の記入や医師への説明を行うためにツアーナースが付き添うことがあります。

しかし、大勢の子どもたちから離れることにもなりますので、それを良しとしない学校もあります。

現場でドタバタしないためにも、事前の打ち合わせで、病院搬送の仕方を決めておくといいでしょう。

たとえば、ツアーナースが残るべきだと考える学校に対しては、病院への付き添いを旅行会社の責任者に担当してもらう、もしくは担任に担当してもらう、といった具合です。

学校によっては、毎日検温を子どもたちにさせ、健康カードに記入させるところもあります。

その際は、回収されたカードすべてに目を通し、毎日子どもの健康状態を把握します。

このように、ツアーナースが行うべき仕事はかなり多いといえます。

それから、子どもたちは、さまざまな事情を抱えています。

修学旅行では、先生や親に言えないことをツアーナースに吐露してくる子どもも少なくありません。

数日間で子どもの悩みを取り除くことは難しいですが、それでも悩んでいる子どもの言葉に耳を傾け、心に寄り添い、安らぎを与えることは可能です。

ツアーナースには、子どもの心身の健康ケアも求められています。

救急バッグは、学校の養護教諭(保健室の先生)が用意してくれます。

足りないこともあるので、事前の打ち合わせの際に、ツアーナースが必要だと思える備品を伝え、用意してもらってください。

修学旅行が終わり、救急バッグを返却する時は、何をどのくらい使用したのか、メモを入れておきましょう。

また、自分自身も必要だと思えるものはある程度持参してください。

あった方が重宝するものとして、秒単位で測れる時計、聴診器、メモ帳、レインコート、スマホのバッテリーなどがあります。

修学旅行終了後、ツアーナースは、学校から配布された資料をすべて返却します。

個人情報管理のためです。

また、登録している派遣会社によっては、看護報告書の提出を求められることもあります。

メモ帳に出来事を記しておくと役に立つでしょう。

このように気苦労の多いツアーナースの仕事ですが、何事もなく無事に旅行を終えられた時は、達成感があります。

また子どもたちや先生方から感謝されることも多々あります。

担当して良かったと思える嬉しい瞬間ですね。

蛇足ですが、有名な観光地へ無料で見学できるのも魅力ですよ。

ここでは、修学旅行を例にとりましたが、個人旅行であっても慰安旅行であっても、少人数旅行であっても、事前に必ず主催者と打ち合わせを行うようにしましょう。

特に障がい者の個人旅行の場合、依頼者が車椅子を使用していたり、盲導犬がいたり、何らかの疾患があったりすることもあります。

あらかじめ旅行の目的と経路を含めたスケジュールや心配事を聞いておけば、ツアーナースはその身体と心に寄り添った行動を取ることができます。

イベントナースの求人には、繁忙期があります。

特に修学旅行は5月~6月と、9月~11月に集中しています。

いつも仕事があるわけではないので、こまめに求人をチェックしましょう。

1番の近道は、看護系の派遣会社に登録し、派遣会社を通して仕事に就くことです。

2~3社の派遣会社を併用して、情報量を増やしましょう。

大型の社員旅行などでは3、4か月前から、急な案件では1、2週間前に募集が行われることが多いようです。

報酬は、日給×添乗日数という形が一般的です。

ツアーナースに必要なのは看護師免許です。

保健師の資格もOK。

条件が付いている旅行も少なくありません。

たとえば「臨床経験が3年以上」「小児科の経験ナース」「女性看護師限定」といった具合。

中でも突発的な怪我や病気に対応できる救急外来や外科を担当した経験のある看護師は歓迎されるようです。

さらに外国語が堪能な人は有利に働くでしょう。

最近は、外国籍の子どもが多く在籍する学校があること、外国人向けのツアー旅行があること、海外へ同行する修学旅行もあること、などが理由です。

【まとめ】

前編は、イベントナースとツアーナースの仕事について説明しました。

どちらも短期の案件が多く、パートやアルバイト感覚かもしれません。

しかし、自分に合った仕事を幾つか選んで担当し、自由に楽しく仕事を行っている看護師もいます。

家庭の事情でスケジュールが合う時に働きたい、不定期でも看護師として働きたい、という希望がある人は応募してみてはいかがでしょうか。

うまく仕事の依頼が来たときは、以下の点を注意して交渉してください。

開催場所はどこなのか、どの程度の規模なのか、1日いくらなのか、それは税込みなのか税抜き料金なのか、交通費はいくらまで出るのか、事前打ち合わせはあるのか、雨天中止の時はお金を何割保証してもらえるのか、緊急連絡先など。

現場に行ってから「しまった!」ということがないように、あらかじめ確認しておきましょう。