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ブランクがあっても大丈夫! 老人保健施設で求められる看護師

子育てが一段落。

ブランクを経て復帰を考えている看護師は、働き慣れている病院がいいのか、家庭と仕事のやり繰りができそうな介護施設がいいのか、と悩む人が多いようです。

そこで今回は「介護老人保健施設(老健)」にスポットを当てます。

数ある介護施設の中でも、老健は医療に近い性格を持っています。

医師も常駐しているので、病院と似た雰囲気の中で職場復帰を果たせますよ。

【「介護老人保健施設(老健)」はどんなところ?】

「介護老人保健施設」は、略して「老健」と呼ばれます。

老健は、病院と在宅の中間施設という位置づけです。

利用者は、要介護者(原則65歳以上、要介護1以上)で、在宅復帰を目指している人になります。

たとえば、病気やケガで入院をし、症状が落ち着いたもののすぐに自宅に戻ることが困難な状態の人、といえばわかりやすいでしょうか。

老健では、可能な限り自立した生活をおくることができるように支援します。

医療ケアとリハビリテーションがメインの施設だといえます。

利用者の入所期間は3か月から6か月と短期間です。

リハビリの進みが遅く、自宅に帰れるまで回復していないと認定された場合はもう少し長く居られますが、有料老人ホームのような終の棲家ではありません。

リハビリ中に入院治療が必要になった場合は老健を退所し、病院へ入院することになります。

また老健では、一時的に入所できる短期入所療養介護(ショートステイ)や、日帰りでリハビリを利用できる通所リハビリテーション(デイケア)も行っています。

【看護師は老健でどのように働くの?】

老健での看護師の仕事は、利用者の健康管理(バイタルサインチェックなど)、医師の指示に基づく医療行為(点滴、インスリン注射、褥瘡の処置、喀痰の吸引など)、診察の補助、服用の管理&介助、看護記録などです。

施設内の感染対策も行います。

食事や排泄の介助、清潔ケアは介護スタッフの担当です。

しかし、人手が足りないときや忙しいときは、看護師もサポートに入ります。

老健の特徴の1つに、常駐で医師が1人以上、看護師・介護士のほかに、リハビリ(PT:理学療法士、OT:作業療法士、ST:言語聴覚士)などが配置されていることがあげられます。

医療&リハビリ&介護のスタッフが一丸となって利用者を支えます。

そのため看護師は、それぞれのスタッフがスムーズに作業ができるよう、調整役を担う仕事があります。

扇子に例えれば、看護師が要の部分です。

【老健で働く4つのメリット】

◇ 病院に近い働き方ができる

病院勤務とほぼ変わりない働き方ができるので、ブランクがあってもすぐ職場に馴染めます。

老健は日勤と夜勤の二交代制で、他の介護施設よりも看護師が多く配置されています。

ただ最近は、夜勤専従の看護師が居るところもあります。

そのときは日勤だけになりますから、自分のライフワークに合った老健で働けます。

◇ 看護師にかかるプレッシャーは少なめ

老健は、医師が常駐しているので、すぐ判断をあおぐことができて安心です。

他の介護施設では、急変などがあった場合、看護師が判断することが多いので、その点が違います。

ブランクがある人は、重圧がそれほどかからない老健が合っているかもしれません。

◇ 在宅復帰を目標に、やりがいを持てる

病院は治ったら退院ですが、老健は「在宅で暮らせるようにする」という明確な目標があります。

そのため、一人ひとりに向き合った看護ができます。

利用者が住み慣れた自宅に帰る姿を見守れた日には、達成感を得られることでしょう。

老健ならではの、看護師のやりがいです。

◇ 残業時間がない

ほぼ定刻に帰宅できます。

そのため、家庭と両立した生活を送ることができます。

また、全介助が必要な人や、寝たきりの人はほとんどいなく、急患などもないので体力的な負担は少なめです。

ライフスタイルを重視した働き方を求めている人に合っているでしょう。

【老健で働く4つのデメリット】

◇ 夜勤がある

老健では、オンコール対応しているケースはほとんどなく、夜勤があります。

夜勤帯は、看護師1名・介護スタッフ3~4名が平均的な配置人数です。

病院の二交代夜勤と同じような勤務時間です。

ただし医療的なケアや管理は少なく、緊急入院も発生しないので、比較的落ち着いて看護ができます(夜勤専従の看護師がいる老健もあり)

◇ 医療のスキルアップを目指せない

知識や手技業務を身につけたい、判断力を磨きたい、専門性を追究したい、と思っている看護師は老健での仕事を物足りなく感じるかもしれません。

治療の必要がない人が利用者ですから、ケアが対象になります。

◇ 高いコミュニケーションスキルを求められる

老健では医師やリハビリスタッフ、介護スタッフ、ケアマネージャーなど多種職の職場です。

その中で、看護師は調整役を期待されています。

たとえば、介護スタッフと利用者の些細な体調変化について情報を共有したり、リハビリスタッフと利用者の機能改善の相談をしたり、と連携する仕事を行います。

老健は、このスキルを1番求めています。

ですから話下手とか、コミュニケーション下手では、うまく連携をとることができません。

それを負担に感じない看護師が、老健に向いています。

◇ 介護業務も任される

看護師ですが、人手の足りなさから介護業務を行うことも少なくありません。

逆に看護業務は医療行為ですから介護士に手伝ってもらうことができません。

その不公平さから、不満を抱くことがあるかもしれません。

【まとめ】

老健で求められるのは、医療ケアです。

ブランクがあっても落ち着いて対処に当たれば大丈夫。医師も常駐していますし、介護スタッフやリハビリスタッフもいますから、互いをリスペクトしながら働くことができれば、ミスは起きにくいといえます。

病院よりも落ち着いて介護したい、丁寧に利用者と向き合いたい、人と関わることが大好きという人は、老健をお勧めします。

老健では人手不足から介護やリハビリを手伝うこともあります。

そのときは「介護スキルを身に着けることができる」「いずれ両親のリハビリに役立つはず」と考えることができれば、快くサポートできるでしょう。

ここまで老健の特色と役割などについて書いてきましたが、ターミナルケアを行っている老健もあります。

給料や労働環境も施設ごとに異なりますから、希望と違うことがないように注意しましょう。

そこで働いている看護師の話を聞いたり、口コミサイトで確認したり、実際に見学させてもらったりすることがいいですね。

「ありがとう」「あなたがいたからが心地よく過ごせた」という言葉を退所者からもらったとき、極上の褒美だと感じることでしょう。

看護師の資格を、ぜひ老健で活かしてください。